子供の頃からお菓子作りが好きだった私は、学校の休みによくお菓子を作っていました。ある日、お菓子を食べながら父は言いました。

「このケーキの原価はいくらくらい?」

私は、母に小麦粉や卵の値段を聞きながら、使った材料を計算するわけです。「小麦粉が100グラムで、卵が3個で、、、」などと。ホールケーキの台の材料は300円もしません。そこに生クリームと果物と、などと計算していると、父は、「オーブンのガス代が入ってない」だの「作るのに何時間かかったのかとか」だの、そのうちオープンの本体の償却の話にまでなります。そこで、オーブンを何分使えばいくら、などと決めていくわけです。

市場価格と自分の作るケーキの原価の乖離が大きいものは、例えば生ケーキだったりすると、父は「それは売れ残って捨てた分も売価に入っているからね」などと説明してくれるのです。

確かにそれもありますが、本当は「技術」という付加価値で高いのだけど、それを言うのは子供に酷だと思ったのでしょうか(^^;

製造業を営んでいた父は、中学生の頃から、原価計算の英才教育をしてくれていたのかも、、、この仕事をするようになって思い出した遠い記憶でした。